デルタ 関数 フーリエ 変換。 ディラックのデルタ関数とフーリエ級数の関係

やらない夫 あそこで をくくり出さなかったどうなるか,計算してみればわかるんだが,フーリエ変換の式の方の先頭に がついて,逆変換の式の方には何もつかなくなるんだ.だから,「フーリエ変換」の式をきれいに見せたかったら今回みたいに でくくればいいし,「フーリエ逆変換」の式をきれいに見せたいならば,くくらずに導出したもので定義すればよかった.どっちにしろ,フーリエ変換して,またフーリエ逆変換すればちゃんと元に戻るからな.どっちでもよいんだけど,我々は前者を採用したってことだ.教科書によっては両方に をつけているのもあるしな. やる夫 どっちでもいいってのはあまり納得いかないお.定義が変わったら周波数成分の値が定数倍だけ変わってしまうお. やらない夫 変わってもいいんだよ.例えばもとの時間信号の振幅が,そうだな,電圧だったとしようか.じゃあそれをフーリエ変換したときの周波数成分の単位はどうなる? やる夫 なんか,ある一点でだけ無限大の値を持って,それ以外の点では 0 になるようなやつだったお.ピーンとインパルスが立ってる感じだお. やらない夫 ああ,イメージとしてはそれで OK だ.無理やり数式で書くとすると 3. というのは ,元々 であった関数を , のように有限の値へと対応させるような を考えようというアイデアだからである. 先ほどの超関数の説明で ,「何回でも微分できて , で素早く 0 に収束するような関数」 というものを考えた. やらない夫 うーん,実在という言葉の意味によるな.例えば音声信号とか電気信号として物理的に存在するかというと,振幅が無限大なんてのは無理だから,存在はしない.数学的にも,普通の「関数」としては存在しないと考えた方がいいだろうな.しかし,超関数という概念を導入することで,ちゃんと定義することができる.だから数学的にはちゃんと実在しているともいえる. やる夫 超関数って,その中二病っぽい響きの単語は何なんだお.そういう難しそうなのは勘弁してほしいお. やらない夫 まあそこに深入りする気はないので安心してくれ.とにかく信号処理を考える上ではものすごく重要な概念なので,やや天下りだが,こういうような性質をもった「関数っぽいもの」が存在すると考えればいい. やる夫 そうしますお. やらない夫 というわけで,デルタ関数をフーリエ変換するとどうなるか,というのがここからの主題だ.早速だが, をフーリエ変換してみたらどうなる? それは 無限のをしていることと周波数領域で連続になっている 連続スペクトル こと です!無限や連続は計算機では扱えませんね。 やらない夫 そうそう,それを説明してなかった.これまではずっと連続時間信号について話をしてきたけど,次回から離散時間信号についての話に入るんだ.つまり,時間軸上で飛び飛びの時刻にしか値をもたないような信号だな.いよいよ「ディジタル」信号処理の世界に入っていくわけだ. 離散時間信号について考えるとき,いわゆる普通の角周波数とは別に「正規化角周波数」という概念が出てくる.小文字の はそっちの方で使おうと思うんだ.だからそれと区別するために,普通の角周波数は と書くことにする.ちょっと戸惑うかもしれないが,まあ我慢してくれ. やらない夫 互いにフーリエ変換と逆変換の関係になっているものを「フーリエ変換対」と呼ぶことがある.後々の説明で必要になるものをいくつか計算しておこうと思う. やる夫 あまり計算好きじゃないお. やらない夫 まあ数学の演習じゃないので,必要最低限に留めようと思う. そうそう,以下では が のフーリエ変換であることをこんな風に表すことにする.これらは割と標準的な記法だ. 3. 時間変数 を時間インデックス へ,周波数変数 を周波数インデックス へ変換すると となります。 まとめ 今回は実問題を意識して時間領域の離散化を行うことで離散時間, 更に周波数を離散化する 時間領域で有限の周期関数と見なす ことで離散,逆離散を得ました。

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やらない夫 ほら,フーリエ変換の公式を導くときにだろう.その分の辻褄を合わせるために出てきたものだ. やる夫 あー,そういえばそうだったお. やらない夫 今まで見てきたような話を,フーリエ逆変換の視点から見ておくことも重要だ.各周波数成分が有限値 で,それ以外が 0 になっているようなスペクトル が与えられたとしよう.そのままフーリエ逆変換の公式に入れるとどうなる? やらない夫 そうだな.「重ね合わせ」という言葉であれば,総和の場合も積分の場合も,まあそんなに違和感無く表現できてる気がするが,どうだろう.まあ語感は人それぞれかも知れないけどな. ともかく,一般の時間信号は,あらゆる実数を周波数とする複素指数関数の重ね合わせで表すことができる,ということだ.これがフーリエ逆変換の意味だ. やる夫 逆? やらない夫 そういうことだ.ただし条件として,元の信号が帯域制限されていることが要求される. と の間を結ぶ方法は無数にあるけど,復元された信号が 以上の周波数成分を含まないように結ぼうと思うと,一意に定まってしまうってことだな. やる夫 ああ,そう言われると,原理上無理な話でもないってのは理解できるお.しかし本当にそんなことできるのかお. やらない夫 というわけで,どうすればそんなことができるのかを丁寧に見ていこうと思う.帯域制限なんていう周波数領域での条件が関与していることからわかるとおり,鍵になるのは周波数領域での検討だ. 元の連続時間信号を としよう.周波数領域で見ると だ. 10. やらない夫 あきらめないためには超関数論にまともに踏み込まないといけないからな.そこで「フーリエ変換対をセットにする」考え方の出番だ. をフーリエ変換したら になると知っているんだから, のフーリエ逆変換が になることもわかっていると考えてしまう. やる夫 さっきも言ったけど,ずるいお. やらない夫 さっきも言ったが,ずるくて構わない.ともかく,複素指数関数をフーリエ変換しなくちゃならない状況になったときに,あー,これはデルタ関数になるなと思い出して,逆から計算できるようになれれば勝ちだ.差し詰め,試合に負けて勝負に勝つといったところか. やる夫 あ,やっぱり試合は終了なのかお. やらない夫 同様に,周波数領域のデルタ関数 とか,それを定数 だけシフトした とかのフーリエ逆変換も計算しておこうか.やり方はほとんど同じだ. やる夫 同じように計算すると 3. ああ,周期信号だから,1周期分のコピーが延々に続くわけだお.だから無限に足し合わせることになるんだお. やらない夫 そう,だから の整数倍のところでは,フーリエ変換の値は無限大に発散する.それが,周期関数のフーリエ変換がデルタ関数の並んだものになる理由だ.三角関数や複素指数関数をフーリエ変換したときにデルタ関数が出てくるのも,その特殊な場合になっているだけだな. やる夫 なるほど,辻褄は合ってるお. やらない夫 デルタ関数が「普通の意味での関数」ではなかったことを思い出してくれ.言い換えると,周期信号は,普通の意味ではフーリエ変換が存在しないってことだ.それでは不便なので,関数の意味を拡張して考えている.本来はもっと厳密な扱いが必要だ.もし避けることができるなら避けておきたい. やる夫 正直,どっちみち厳密性にはあまり興味ないから,今のままのゆるーい理解でいいなら,別に避けなくてもいいんじゃないかお? 38 やる夫 積分したら 1 になるわけだお.これがどう重要なのかお? から,式 によって元の が復元できる.この計算をフーリエ逆変換と呼ぶ. あるいは「 は のフーリエ逆変換である」という言い方もする• やらない夫 周波数領域で をかけるってことは,時間領域では をたたみこむってことだ.それが時間領域でサンプル間の結び方を与えることになる. ちょっと面倒ではあるんだが,ゆっくり考えてみようか.式 を時間領域で考えると やる夫 あー,だお. やらない夫 で,この計算が何をしているかというと,とりあえず のところを無視したとすると,くし型関数のたたみこみなわけだ.つまり を 間隔でずらっと並べて足し合わせることになる.ただし実際には係数 があるから,ずらっと並んだそれぞれの高さを 倍にしておかないといけない. つまり を だけシフトして 倍したものを全 について足し合わせたのが だ.これもある種のたたみこみととらえればいいんだが,離散信号 と連続信号 の離散たたみこみになっているのがややこしいところだ. やる夫 んー,想像しにくいお. やらない夫 の具体的な形を考える方がいいかもな. を逆フーリエ変換することで求めておこう.式 の結果を使えばいい. やる夫 あ,そういえば, の逆フーリエ変換は前に一度計算してるんだお.えーと, やる夫 あー,各サンプルの点を頂点とするような sinc 関数を並べて,全部足し合わせるって感じかお.うーん.結構ややこしい仕組みでサンプル間を結ぶことになるんだお. やらない夫 ややこしいのもそうだが,sinc 関数が まで無限に続くものだというのが実用上は大きな困難だ.元の信号を復元するときに,あるサンプルの値の影響は無限時間先までえんえんと及ぼしてやる必要があるわけだ.だから実際には「理想的」じゃない何らかの低域通過フィルタで代用してやる必要がある. やる夫 ってことは,完全に復元できるってのは単に理論上の話ってことかお.じゃあサンプリング定理の条件を満たすか満たさないかは,実用上は,あまり重要じゃないってことかお? 何回でも微分できて , で素早く 0 に収束するような関数を とする. やらない夫 そうだな,基本的な考え方は同じだ.フーリエ級数は,周期的な時間信号を無限個の複素指数関数の足し合わせで表現したわけだ.ただし無限といっても高々「整数の個数」の無限だ.周波数成分は飛び飛びにしか存在しないが,それで元の時間関数が十分に再現できた. これに対して,周期的とは限らない一般の時間信号を表現しようと思うと.周波数としてはあらゆる実数を考えなくてはならなくなる.数式で表現すると複素指数関数の「総和」ではなくて「積分」で表現しなくてはならないわけだ. やる夫 フーリエ級数の「複素指数関数の足し合わせで表す」っていう考え方は直観的にわかりやすかったお.でも総和じゃなくて積分になるとどうもピンと来ないお. やらない夫 そうかもしれないが,本質的には全く同じことなんだ.同じイメージを持っていて構わない.ただし「足し合わせ」という言葉を使うのはさすがに違和感があるので,「重ね合わせ」という言葉を使うことが多い. やる夫 「重ね合わせの原理」とかいう場合の重ね合わせと同じかお? やる夫 は に関わらず 1 だお.あ,そうか,だからあらゆる周波数が等しい振幅で含まれているっていう点では と同じなんだお.問題は位相だお. だから,周波数 の成分は, だけ位相が遅れていることになるお.これってどういうことだお…. やらない夫 もう一度時間領域に戻って考えてみるといいぞ. ってのは, から時刻 だけシフトしているわけだろ.そういう関数を合成するには,各周波数のサイン波をどうすればいいと思う? 逆 の時間・周波数の離散形である 逆 離散は,殆ど 逆 と同様の性質を持ちます。

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やらない夫 まず注意してほしいのは,この式では の全区間を積分しているが, が 0 でない値を持つのは を跨ぐ瞬間のみだということだ.だから, を含むような積分範囲を取れば,積分値は必ず 1 になる. それが何を意味するかというと,デルタ関数は,高さは無限大だけど面積は有限で 1 だということだ. やる夫 高さが無限大で,幅が0で,かけたら1になるような短冊だってことかお. やらない夫 そう考える手もあるかな.ともかく,単に「無限大です」ってんじゃなく,何らかの意味で「大きさを考えられる」という点が重要だ.単に無限大だと言われた場合は,その2倍とか3倍とかを考えることに意味がない.でもデルタ関数の場合は, とか とかがちゃんと意味を持っている. やる夫 高さはどれも無限大だけど,面積はそれぞれ 2 と 3 だってことかお. やらない夫 そういうことだ.この性質は,他の関数とデルタ関数をかけ合わせて積分するときに重要だ.有限の値を持つ関数 とかけ合わせて積分すると やる夫 のときの瞬時値が取り出されるわけだお. やらない夫 そう.どの場合も,積分範囲はインパルスの立っているところを含んでさえいれば OK だってことに注意しておこう. やる夫 しかし,奇妙な関数というか不思議な関数だお.こんなもの実在するのかお? サンプリング定理 やらない夫 これまでは,連続時間信号は連続時間信号,離散時間信号は離散時間信号と別々に考えてきた.今回は,両者の間の関係を考えてみたい. やる夫 関係っていうと,連続時間信号を一定時間おきにサンプリングして,離散時間信号を作った場合にどうなるかとか,そういうことかお. やらない夫 そういうことだな.例えば電気信号にしろ,音声信号にしろ,現実世界にある多くの信号は連続時間信号だ.それをコンピュータで処理するために,サンプリングして離散時間信号にする.そうやってコンピュータで処理している離散時間信号が,元の現実世界の信号をどのくらい反映しているか,元の信号が持っている情報を失わずに保っているのか,そういったことを把握しておくのは重要だ. やる夫 そんなこと言っても,サンプリングされた時刻と時刻の間の情報は捨てちゃっているわけだお.サンプリング周期を短くすればするほど現実世界の信号に近くはなるだろうけど,情報が失われるのは避けようがないお. やらない夫 本当にそうだろうか. やる夫 そりゃそうだお.例えば時刻 と の信号のサンプル値が与えられていたとして,その間の連続信号が捨てられていたら,捨てられてしまった部分のことは知りようがないお.元の信号がどんなものだったか復元しようとしても,時刻 と のサンプル間を結ぶ経路はいくらでもあるし,仮に「全部の点を滑らかに結ぶこと」みたいな制約をつけたとしたって,やっぱり無数の可能性があるお.だから,元の連続時間信号を知ることは絶対にできないお. 10. は角周波数を表す連続変数である. は に含まれる角周波数 の振動成分の量 振幅・位相 を表す.• ダメだお. で にしたときの値が定まらないお. やらない夫 ああ,それがさっき言った根本的な問題だ.よくよく考えてみると,デルタ関数なんて普通の「関数」ではなかったわけだろ.普通の意味の積分の結果としてさくっと出てくるようなものではないんだ.特殊な取扱いが必要になる. sinc 関数をフーリエ逆変換するときのように「計算が難しい」のとはちょっと話が一味違う. やる夫 じゃあどうすればいいのかお? このように周波数領域での と の畳み込み 厳密にはこれの定数倍 になりましたね。 やらない夫 普通のフーリエ変換から始めよう.時間領域でくし型関数をかけることでサンプリングする. やらない夫 残る離散フーリエ変換も同様だ.離散時間フーリエ変換からスタートして,時間領域が周期的の場合を考える.1周期分からなる信号にくし型関数をたたみこむことで表すことができる.すると周波数領域ではくし型関数がかけられることになって離散的になる. あるいは,フーリエ級数展開からスタートしてもいい. やる夫 えーと,フーリエ級数展開を考えて,時間領域でくし型関数をかけてサンプリングするんだお.すると,周波数領域ではくし型関数がたたみこまれて,周期的なスペクトルが現れるお. やらない夫 時間領域と周波数領域で,周期性と離散性は表裏の関係にあるとこれまで何度も話してきた.その関係が,くし型関数を使って考えるとこんなにすっきり説明できるわけだ..。 式 7 を の 離散と呼び,その逆変換である式 6 を の 逆離散と呼びます。

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